2021年2月18日掲載

Day3

RTK測位装置の作成

u-blox社のZED-F9P(以下、F9P)を搭載した受信機を使用して、高精度なRTK測位ができる装置を作ります。F9PはRTK測位に対応しており、コストパフォーマンスが良く、入手しやすい受信機です。また進行方向がある程度正確に安定して出力されるため、デジタルコンパスを省略できるメリットもあります。今回は測位航法学会オリジナルF9P受信機(非売品)を使用しますが、例えば市販されているCQ出版のF9P受信機でも代用可能です。

 

F9PがRTK測位をするためには、基準局のRTK補正データ(RTCMデータ)が必要です。今回はBluetooth経由でAndroidスマホから補正データを送信します。BluetoothモジュールはSPP(Serial Port Profile)に対応していて、技術基準適合証明(技適)取得済みのものを使用します。今回使用するのは秋月電子の「RN-42使用 Bluetooth無線モジュール評価キット」です。


手順1.F9Pの設定

【1】F9P受信機をWindows PCにUSB接続し、「センチメートルGPS測位 F9P RTKキット・マニュアル」の第3章 第4話「移動局の準備① 初期設定と基準局との接続」に沿ってF9Pの設定をする。

 

【2】u-centerを起動し、[View]-[Configuration View]をクリックする。

 

 

【3】表示されたウィンドウの左側のペインで「MSG」を選択する。

NMEAのメッセージはGxGGAとGxVTGをONにし、他のメッセージはOFFにする。

GxGGAのUART1、UART2、USBをON。他はOFF。

 

GxVTGのUART1、UART2、USBをON。他はOFF。

 

GxGGAとGxVTG以外のNMEAは全てOFF(上の画面は例としてGxGLL)。

 

 

【4】ウィンドウの左側のペインで「PRT」を選択する。

UART1、UART2、USBの設定を下記画面の通り変更する。

Target :1-UART1

Protocol in :0+1+5 – UBX+NMEA+RTCM3

Protocol out :1-NMEA

Baudrate :115200

 

Target :2-UART2

Protocol in :none

Protocol out :1-NMEA

Baudrate :115200

 

Target :3-USB

Protocol in :0+1+5 – UBX+NMEA+RTCM3

Protocol out :0+1+5 – UBX+NMEA+RTCM3

手順2.RTK受信装置の作成

【1】7cm×16cmのプラスチックダンボールを作り、ミニブレッドボードを次の写真のように張り付ける。

※車体のラジコンカーにTAMIYA Lunch Boxを使用した場合のサイズと配置。車体に合わせてサイズと配置を調整する。

 

【2】ミニブレッドボードにF9P受信機、Arduino Nano Every、秋月RN-42①を取り付ける。

 

【3】F9P受信機、Arduino Nano Every、秋月RN-42①を下記の通り接続する。

※秋月RN-42は3.3Vで動作するため、Arduino Nano Everyの3.3Vを使用する。

 F9P受信機 Arduino Nano Every  秋月RN-42①
UART2のRX(PIN10) D1(Serial1 TX)  
UART2のTX(PIN9) D0(Serial1 RX)  
UART1のRX(PIN17)   TX(J2 PIN6)
UART1のTX(PIN16)   RX(J2 PIN7)
  GND GND(J1 PIN12)
  3.3V 3.3V(J1 PIN11)

手順3.F9P受信機への基準局RTK補正データ(RTCMデータ)送信

(Androidスマホ①から、基準局のRTK補正データ(RTCMデータ)を、Bluetooth経由でF9Pに送信する作業)

 

【1】Androidスマホ①にインストールしたLefebure NTRIP Clientの設定のNTRIP Settingsに、基準局の情報を入力する。基準局は「善意の基準局掲示板」に掲載されている基準局等から最寄りのものを選ぶ(下の画像は入力例)。

 

※近くに公開されている基準局がない場合は専用基準局を製作する。専用基準局の製作手順は、「センチメートルGPS測位 F9P RTKキット・マニュアル」の第3章 第6話~第8話を参照する(難易度高)。

 

 

【2】F9P受信機をWindows PCと2周波アンテナに接続、Arduino Nano Everyを電源に接続し、オープンスカイの環境に置く。

【3】u-centerを起動して「Connect」ボタンを押す。測位が始まるとu-centerに測位結果が表示される。

 

【4】Andoroidスマホ①のLefebure NTRIP Clientのトップ画面で左上の「Connect」ボタンを押し、RTK補正データ(RTCMデータ)を、Bluetooth経由でF9Pに送信する。

 

 

【5】RTK測位が始まると、u-centerとLefebure NTRIP Clientのトップ画面に「FLOAT」や「RTK」( Lefebure NTRIP Client)、「FIXED」(u-center)と表示される。